【絵本】るいちゃんのけっこんしき  どもっても つたえたいこと

絵本

こちらは5歳の長女が、初めて読んだとき涙した絵本です。それ以来、何度も一緒に読んでいます。(自分で字が読めるようになっているので、1人でも読んでいました。)

ワイワイ
ワイワイ

その様子を見ていて、3歳の娘も「読んで―。」と持ってきました。

この絵本を簡単に紹介すると

どもってしまう女の子。ずっと、みんなに理解されず辛い思いをしてきた。でも、「るいちゃん」は優しく(普通に)接してくれた。数年後、その「るいちゃん」の結婚式でサプライズでスピーチをして…
これだけ見るとなんて事のないお話に見えてしまうかもしれませんね。
ワイワイ
ワイワイ

でも、僕はじーんと目頭が熱くなってしまったのです。

「どもる」という言葉は教員になるまで、意識することはありませんでした。でも、数年前に「どもる」子を担任する経験がありました。その子は、言いたい言葉がすっと出てこないのです。(こういった症状を「吃音がある」なんて表現することもあります。)その子のことを思い浮かべ、どこか重ね合わせて読んでいるからかもしれません。

印象的なファーストコンタクト

実は担任をもつ前に、その子が吃音であることを知る出来事がありました。

4年生の時にクラスの「代表委員」になったその子は、集会の中で、全校のみんなの前であいさつをする機会がありました。その時に盛大に「どもって」しまったのです。その場面は強烈に僕の中に残っています。集会後、廊下でその子とすれ違った時に「大丈夫やからね。」と声をかけたのが、ファーストコンタクトでした。気まずそうに会釈を返してくれました。

2年間、担任をすることに

翌年、僕はその子の担任になりました。話すときには、どもったり、早口になったり。でも、僕は何も心配していませんでした。なぜなら、僕以上にクラスの子どもたちはその子を理解し、受け止められているように見えたからです。

ただ、その子は、授業中は必要以上に発表はしませんでした。ある時、どうしてか理由を聞くと、「発表となると注目される場面もあり、緊張してしまう。そうなると、どもりやすくなるから。」だと教えてくれました。

その子は、授業中、話すかわりに、よく思考を働かせました。話すかわりに、ノートに自分の思考を残しました。僕は、そんな彼をクラスに紹介しました。(もちろん他の子もですが。)いろいろな頑張り方があり、できることをすることの素晴らしさを伝えたこともあります。

運動場で友達とサッカーをするのが好きでした。放課後、教室で好きな子の話をして盛り上がることもありました。僕もどこか、その子の友達の1人のように過ごさせてもらいました。

・・・その子も、自分の思いが上手く言葉に出来ずに苦しんだことがあるのだろうな。

そんなことを思うと、目頭が熱くなるのです。魅力的な子です。きっと、今もその子の周りには分かってくれる友達がいて、楽しく過ごしているのだとは思っています。この絵本を読み、「がんばりの裏には、コンプレックスのようなものもあったのかなぁ。」などとも思ってしまいます。(がんばることはもちろん良いことなのだけど、がんばらなければ居場所がないというのは違うし、難しいところ。)

大人になると涙もろくなるんだ、と実感しています。様々な経験が積み重なり、その経験と話を重ね合わせるからなのでしょうね。ただ、5歳の娘も涙した、という事実。やはり、それ以外にも、心に響くものがあるのだと思います。

ワイワイ
ワイワイ

ちなみに、この絵本は実話をもとにしているそうです。主人公の「あやちゃん(吃音の女の子)」は、あとがきで、絵本作家きだにやすのりさんの妻だと知り、びっくり!!

自分のお子さんはもちろん、教室の読み聞かせにも良いと思います。いつか出合うかもしれない「吃音」について知っておくだけで、かかわり方って変わりますから。「知らないこと」や「分からないこと」が一番こわい。おすすめです。

コメント