ビジネスの世界などで「ティール組織」の考え方が数年前から紹介されています。下のような図を目にされた方も多いのではないでしょうか。
これまでに、いろいろな方が発信されていたのですか、いまいち分からないまま、「へぇ~。」と思って今日まできました。今も正直よく分かっているとは言えない状態です。
分かりやすい説明がたくさんあります。
ティール組織について「少し勉強してみたいな。」なんて思っていると、3月17日に「ESBZの視察・報告会」が京都で行われることを知りました。( NPO法人場とつながりラボhome’s vi さんが企画してくださったイベントです。)参加申し込みをしていると、新型コロナウィルスの影響でオンライン開催になり、参加しました。
今回の報告会で知ったことや、自分が考えたこと、感じたことを記録していきます。
「ESBZ」は、ドイツのベルリンにある私立の中高一貫校です。設置母体が保護者であり、「ティール型」で運営されています。
自分の子どもを入れたい学校がないということで、保護者が学校をつくり、教師を選び学校運営しているそうです。なので、日本の公立学校と違い、保護者、教員、生徒、経営者が、それぞれ裁量権をもって行動し、互いにそれを理解し合いながら業務に取り組む集団となっているのでしょう。
・保護者が教師を選んで呼んできて学校を運営しているので、提供者(学校)と消費者
(親・子ども)という関係ではない。・提供者(教員・親)と消費者(子ども)という関係でもない
・「学校は共同体であるべき。なぜなら学びの場だから」
・「保護者による奉仕も、単なる奉仕ではない。 学校という共同体での学び合いである」
・自分たちで、ゼロからはじめたのでトライ&エラーができた
「アクティブ・ラーニング最先端の学校 ドイツ・ESBZ視察報告会」 神田外語大学・石井 雅章「まとめ」より
まず学校の「在り方」から違うことに驚き。
こちらは、東京都市大学の伊藤通子先生がお話してくれました。ESBZの小学校版である「ESBM」の話が僕の心に残っています。
初めに、PBL(プロジェクト学習)について話してくださったのですが、少し難しくて理解できていないので、書けません^^;
WP、LB、SZ(自習)と「学習ログブック」のお話が印象的です。
ESBM(小学校)では、学校の授業の中に「自習」の時間が設定されていて、その時間に何をするか、教材や学ぶ場所も自分で選択していく。そして、それを「学習ログブック」に記録していく。これは自身のポートフォリオになる。2年生では週に160分程度、6年生になると週に480時間程度と子どもに委ねられる時間が増えていきます。もちろん、初めはできなくて不安をもつ親や子どももいるそうです。しかし、どのように学ぶかを選ぶのは自分なので、相談して留年することもできます。
評価は、「子どもに点数や順位をつけて伸びますか」と自分たちに問いかけ、年によって様々な評価を試みる。今までに、表彰状、手紙、ルーブリックでできたことにチェックなどがあったそうです。成績表は伸ばすためのフィードバックなんですね。
下に、報告会で伊藤先生にもらった資料を貼り付けておきます。(許可をいただきました。)
まずは、少しでもティール型に近い教室、職員室を作っていきたい。それを目指すことで、それぞれの良さを生かして、結果として自分のできるチャレンジができるようになる。どうしてもトップダウンになりがちだけど(それを欲している部分もある。楽だから。)自分で行動を起こしていく必要がある。まずは、そこからだと思う。何事もきっかけが必要で、自分が主体者になってくことがその一歩だと考えた。みんなで前に進んでいくためには、「対話」が必要だ。勉強、仕事をこなしていくだけではなく、一人一人のこだわりを知り、それを生かしていけるように。違いを生かすためには違いが分からなくては。
個人として考えていくと、昨年度は「WS(ワークショップ)型授業」について考えてきた。例えば、「RW(ライティング・ワークショップ)」や「RW(リーディング・ワークショップ)」と呼ばれるで実践が積み上げられてきて、「作家の時間」や「読書家の時間」という本が出版されている。この本には、初めの1週間のプランや具体的な実践例ものっていて、取り組みのイメージができるものになっている。
こういった「WS」のいいところは、自分で学びを積み重ねていけるところだと思う。これは、先に紹介した「流動型『学び合い』の授業づくり」とも重なる部分でもある。
従来の学習だと、待ちの時間がどうしても多くなりがちなのに対して、これだと、自分のペースで進められる。自分の課題に向き合うことができる。
今回知った「自習」の時間も同じだと思っている。こういった学習を積み重ねていると、自分の学びのコントローラーを、自分でもつことができるようになる (この表現は岩瀬先生がしていたもの) のだと思う。ただ、教師の役割や支援をどうするのかという今までとは違ったことを考えなければならないし、できるようになるまで時間がかかることは容易に想像できる。
今回この記事を書くにあたり、伊藤先生に連絡をとると、
とのこと。
軌道に乗るまでは、教員と子ども、そして、親も大変でしょう。何しろ、今まで教員は知識を与えることを中心に考えてきたし、子どもや親は、与えられるものをやるだけだったのですから。でも、これからはやはり違うと思います。自分で学び、成長し続けることのできる人間になっていかなければならない。そのために、みんなで同じ方向を向いていけるように、準備を進めていく。
「学校は間違うところだ」
この詩は有名だけど、本当にそうなっているだろうか。間違えないように、失敗しないように、あらかじめ支援ばかりしてしまっていないだろうか。
これは、学校の中の教師には当てはまるのだろうか。当てはまらないだろう。失敗に対する風当たりは厳しい。でも、新しいことをやろうと思えば、上手くいかないことは多々ある。このままではイノベーションが起きにくい。だけど、みんなそれぞれ、小さなチャレンジを繰り返してもいる。これまでのみんながしてきた経験やアイデアを生かして、力を合わせて次に進みたい。目の前にいる子どもたちに、姿で語れるようにしたい。
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